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合格する小論文・総合型選抜

合格率70%という結果に見る「総合型選抜で落ちる本当の理由」とは? 合否を分ける「学問的誠実さ」という視点|人見読解塾

総合型選抜の結果が、今年もすべて出そろいました。
桜美林大学では、最終的に2名が合格という通知を受け取りました。

この時期になると、毎年同じ問いが頭に浮かびます。

合否を分けたものは、結局何だったのか。

文章力か。
実績か。
面接の受け答えか。

どれも「要素」ではありますが、
それだけで説明できた年は一度もありません。

成績を並べてみると、逆に見えなくなるもの

今期、私が関わった総合型選抜の受験生は13名でした。
結果として、合格は9名、不合格は4名。合格率70%。

数字だけ見れば、一定の成果が出たようにも見えます。
しかし、私はこの数字を
「成功率」として語ることに、あまり意味を感じていません。

なぜなら、
落ちた4名に共通していた違和感の方が、
はるかに重要だったからです。

書類や面接では測れない「温度差」

不合格だった生徒たちは、
決して努力していなかったわけではありません。

志望理由書も書いていましたし、
面接対策も真面目に取り組んでいました。

それでも、
どうしても消えない「温度差」がありました。

なぜその学部なのかを説明するとき

研究テーマについて語るとき

将来の話をするとき

どこかで、
自分の言葉になりきっていない瞬間が必ず現れる。

これは技術では埋まりません。

「やりたいこと」は、外から与えられない

総合型選抜で評価されるのは、
完成度の高い文章ではありません。

その人が、どこまで本気で「知ろうとしているか」
その姿勢です。

ところが現実には、

親に勧められたから

一般入試が不安だから

探究活動の延長だと思ったから

こうした動機で受験を選ぶ生徒も少なくありません。

しかし、
学問の場は「納得していない人」を非常に敏感に見抜きます。

指導でできること、できないこと

私は指導の中で、
問いの立て方、調べ方、論点の整理方法は徹底的に教えます。

時には、
「そこまで言わなくてもいいのでは」と思われるほど
踏み込みます。

それでも最後の一線、つまり
「これを学びたい」という必然性だけは、
本人の内側からしか生まれません。

これは指導も演出も不可能です。

面接官は「文章」ではなく「姿勢」を見ている

大学教員は研究のプロです。
言葉の整合性よりも、
思考の出発点がどこにあるかを見ています。

知人の大学教員が、以前こう言っていました。

「高校生の話を聞くとき、
 内容よりも“どこから来た言葉か”を聞いている」

この一言が、
総合型選抜の本質を端的に表していると思います。

来期に向けて考えていること

来期は、個別指導に加えて
志望理由書・小論文の集団型指導を導入します。

他者の思考にさらされることで、
自分の問いが本物かどうかが、否応なく露わになるからです。

また、
「これは書いてはいけないのでは」という
高校生特有の「自己検閲」も、自然と外れていきます。

学問の世界には、
考えてはいけない問いなど存在しません。

最後に

総合型選抜は、
テクニックの試験ではありません。

どこまで誠実に、学びに向き合おうとしているか
それだけが、最後に残ります。

人見読解塾では、
この一点を軸に、今後も指導を続けていきます。

医療倫理の小論文で落ちる理由|看護学科・医学部入試で「いい人の文章」が評価されない本当の理由

医療倫理は、看護学科でも医学部でも、小論文試験で必ずと言っていいほど問われる重要テーマです。
それにもかかわらず、この分野で失点し、合格を逃す受験生は後を絶ちません。

理由は明確です。
「いい人のふりをした文章」を書いてしまうからです。

医療倫理とは、単なる道徳や優しさの話ではありません。
本質は、言葉を持たない現場の行為に、後から言葉を与える営みにあります。

医療や看護の現場では、判断は常に「行為」として起こります。
一方、小論文は、その動的な行為を、言葉という静的な形式で表現しなければなりません。
ここに、医療倫理小論文の難しさがあります。

「患者の気持ちに寄り添うべきだ」
「命は大切だ」

こうした正論は、誰でも書けます。
しかし、それだけでは評価されません。
なぜなら、倫理とは感想ではなく、思考の構造だからです。

課題文型小論文で最も重要なこと

現在、多くの大学が「課題文型小論文」を採用しています。
この形式で最も重視されるのが、設問1の要約です。

課題文の著者が何を問題にし、どこに論点を置いているのか。
それを正確に、過不足なく要約できているかどうか。
ここが、採点の前提条件になります。

そして多くの場合、設問2ではこう問われます。

「これについて、あなたの意見を述べなさい」

しかし、考えてみてください。
設問1の要約がずれていたら、設問2の意見は成り立つでしょうか。

答えは、成り立ちません。
要約が誤っていれば、その後にどれほど立派な意見を書いても、
審査員から見れば「論点違いの文章」にしか見えないからです。

つまり、
設問1が間違っている時点で、設問2は読まれる価値すら失う
これが、課題文型小論文の現実です。

医学部・看護学科で小論文に落ちる本当の怖さ

医学部や看護学科を目指す受験生の多くは、
文字通り、死ぬほど勉強してきています。

それにもかかわらず、
小論文一科目で不合格になる。

これは、精神的に非常につらい結果です。
努力が否定されたように感じ、生きる気力さえ失いかねません。

だからこそ、強く伝えたいのです。
小論文、とくに医療倫理は、早めの対策がすべてです。

感覚や善意で書くものではありません。
構造を理解し、言葉の使い方を訓練する必要があります。

医療倫理小論文の考え方を体系的に学びたい方へ

医療倫理を
「どう考え、どう言葉にすればよいのか」
その思考法を整理した解説はこちらにまとめています。

▶ 医療倫理小論文の考え方と書き方

👉合格基準の小論文講座はこちら

看護学科・医学部を本気で目指す方ほど、
早い段階で一度、目を通しておくことをおすすめします。

【志望理由書対策】一次試験合格率100%達成!──合格を分けたのは「誠実な研究テーマ」

📖 この記事でわかること

- 志望理由書で合否を分けた「たった1つの違い」

- 大学教員が本当に見ている“知的誠実さ”とは何か

- 合格率100%を実現した人見読解塾の指導メソッド


🎓 2025年度総合型選抜で「合格率100%」を達成!
2025年度の総合型選抜(一次試験)において、人見読解塾の志望理由書対策を受けた生徒のうち、私の指導方針どおりに書いた4名全員が一次合格を果たしました。

合格率は100%。

本当によく頑張ってくれました。


📊 今年11月現在の指導実績と結果
今年は合計で12名の高校生を指導しました。
そのうち、一次試験(書類選考・創作課題など)を課された生徒は5名。
残る7名は一次試験のない総合型選抜を受験しています。

そして―

一次試験のある5名のうち、私の指導方針を守った4名は全員合格。

合格率100%です。


⚠️ 合否を分けた「たった一つの違い」
不合格になった1名の生徒は、途中で大手予備校の先生のアドバイスに影響され、
「スポーツの輝かしい実績」を前面に出した志望理由書に書き換えてしまいました。

結果は――不合格。

お母様から電話がきました。私はこう伝えました。

「予備校を辞めて、もう一度“研究テーマを誠実に書く”という方向でやるのなら指導します。辞めないなら、私の指導はここで終わりです。」


5分後、生徒本人から電話がありました。

「予備校を辞めてきました。」

このやり取りがすべてを象徴しています。

志望理由書は“飾る”ものではなく、“誠実に掘り下げる”もの。

大学教員が見ているのは、華やかな実績ではなく、
「この生徒は学問に向き合えるか」「知的誠実さがあるか」という一点です。


🧭 合格率100%の理由:「研究テーマを誠実に書いた」こと
一次試験の合格率100%を実現できた理由は、研究テーマを誠実に書いたことです。
大学教員は、志望理由書の「研究テーマ」の部分しか見ていません。
テンプレート的な“それっぽい文章”は、読むまでもなく見抜かれます。

なぜなら――大学とは「学問の基礎の基礎を修める場所」であり、
総合型選抜とは“学びたいことを自分の言葉で表現できるか”を問う入試だからです。


🍶 大学教員から直接聞いた「正解」
私は普段から複数の大学教員と交流があります。
退官後の先生方とお酒を交えた談義の中で分かったのは――

「大学教員の目線から見た“正しい志望理由書”とは、“研究テーマを軸にした知的誠実さ”だ。」

誰かに書いてもらった文章や、参考書の例文のような志望理由書には、
“考えた痕跡”がないため、大学教員にはすぐに分かるのです。


✨ 一次合格の皆さん、本当におめでとう!
一次選抜に合格した皆さん、本当におめでとうございます。
努力と覚悟が、見事に形になりました。

さあ、次は二次試験(小論文・面接)。
人見読解塾では、本番で「自分の言葉で語れる力」を育てる個別指導を行っています。


🔍 まとめ:合格率100%の理由は「知的誠実さ」
華やかな実績よりも、「研究テーマの誠実さ」こそが合否を分ける

大学教員はテンプレートを求めていない

「考える力」と「言葉の精度」があれば、誰でも評価される

これが、人見読解塾の志望理由書対策が一次合格率100%を達成した理由です。


🎓 あわせて読みたい:志望理由書・総合型選抜対策シリーズ
合格実績一覧|一次試験合格率100%・全国の大学に多数合格!


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高校生が誤解している志望理由書と小論文の書き方|大学教員が評価する“合格する文章”とは

🌸はじめに
総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜で求められる志望理由書と小論文。この2つの書き方を正しく理解している高校生は、意外と少ないのが現実です。正しいことを教えている塾や参考書も、私の知る限り、そう多くはありません。

「体験を書けばいい」
「高校生らしく書けばいい」
「すんごい実績を前面に押して書けば受かる」

それマジですか?

こうした“高校現場での常識”は、実は大学教員から見れば大きな誤解です。

私は日々、複数の大学教員と研究・教育に関する交流を行っています。そのため、入試現場で何が評価され、どんな文章が落とされるのかを、大学側の視点で理解しています。

このコラムでは、志望理由書における2つの誤解と、小論文における1つの大きな誤解を、大学教員の評価基準に基づいて解説します。


✏️【A】志望理由書で多い2つの誤解

❌誤解①:志望理由書はすごい経験を書くもの
大学教員が知りたいのは、「経験」ではなく「思考」です。つまり、その経験からどんな構造を見たのか、どんな理論や視点で解決を考えたのか、その結果大学で何を勉強したいのかといった「論理の展開」です。

たとえば、

私は地域ボランティアで高齢化問題を感じました。だから福祉を学びたいです。

という文章は、気持ちは伝わっても“分析”がありません。

評価されるのは次のような書き方です。

地域ボランティアで感じた“高齢者の孤立”は、地域ネットワークの希薄化という構造的問題に起因している。福祉を「支援の仕組み」ではなく「関係性の再構築」として捉えたい。

このように、体験を通して社会構造を読み取る思考を示すこと。それが大学教員の求める志望理由書です。

❌誤解②:研究テーマを塾に代筆してもらう
これも非常に多い誤解です。総合型選抜や推薦入試の現場では、他人が作った研究テーマは一瞬で見抜かれます。大学教員は日々、ゼミ生や大学院生と研究テーマを議論しています。だから「自分の頭で考えたテーマ」か、「大人に作ってもらったテーマ」かは、語彙・文体・問いの角度でわかるのです。

たとえば、

「AIと倫理の関係を研究したい」

というテーマは抽象的で、“借り物”に見えます。

一方、

「SNSの“いいね”文化は、人の倫理観をどのように変えているのか」

こうした問いは、自分の生活実感から出発しており、大学教員に響きます。

私はこれまで大学教員と授業と酒をとおして、彼らが最も評価するのは、“自分の違和感から生まれた問い”を持つ生徒だと骨の髄まで知りました。

つまり、自分の言葉で考えていることが伝わるかどうか。そこが合否を左右します


📘【B】小論文で多い1つの大きな誤解
❌誤解③:小論文は「高校生らしく書いたほうが印象がいい」
小論文は作文ではありません。採点者は“高校の先生”ではなく、“大学教員”です。つまり、論文を日常的に読み書きしている研究者。

彼らが求めるのは、「熱意」ではなく「構造」です。

高校では「自分の意見を元気に書こう」と指導されますが、大学ではむしろ逆。感情よりも、根拠と論理の筋道を重視します。

たとえば、

私は命の大切さを学びました。だから医療に関わる仕事をしたいです。

という文章は感情的で説得力に欠けます。

評価されるのは次のような文章です。

医療現場における“命の価値”は、個人の感情ではなく社会的合意によって支えられている。私はその価値の共有のあり方を倫理的視点から探りたい。

このように、感情を構造に置き換える力こそが小論文における「アカデミックライティング」です。


アカデミックライティングとは、

「なぜそう言えるのか」を説明する

「どんな前提に基づいているのか」を明示する

「他の立場ではどうか」と相対化する

といった思考の文体です。

大学教員はそこを見ています。高校生らしさよりも、「大学で学ぶ準備ができているか」を評価しているのです。


🎯まとめ|大学教員が評価する“合格する文章”とは

志望理由書①: ×経験を語る 〇経験を分析する

志望理由書②: ×研究テーマは代筆  〇自分の違和感から問いを立てる

小論文③: ×高校生らしく書く  〇アカデミックに論理で書く

私は大学教員と意見を交わすたびに感じます。「高校生が誤った方向に努力してしまっている」――これほどもったいないことはありません。

正しい方向に努力すれば、誰でも小論文や志望理由書は劇的に伸びます。

ぜひ、“大学教員の視点”を理解して、合格を確実にしましょう。

地域創生と哲学の共通点とは?|「使える哲学」をめざして|人見読解塾

🏫 はじめに──地域創生を教えながら感じたこと

今年は、地域創生系の総合型選抜を受験する生徒を2名サポートしています。地域創生という学問分野は、経済学・社会学・政策学・環境学などを横断しながら、「地域の未来をどう再構築するか」という問いに挑む学際的な学問です。

学問が分野を越えて結びつき、現実の社会課題に向き合っていく――。その姿勢に、私はいつも“生きた問い”を感じます。まことに魅力的!


🧭 哲学だけが「語釈」にとどまっている?

一方で、ふと哲学を思うと、哲学だけがいまだに語釈や文献解釈の世界に閉じこもり、生活や現場に十分にひらかれていないように感じることがあります。

哲学とは本来、生きることそのものを問う学問のはずです。それが「難解な言葉の分析」に留まってしまうと、人々の日常や教育の現場から遠ざかってしまう。

「哲学をどう使うか」という視点が、現代の学問にはもっと必要なのではないでしょうか。たとえば、地方創生には公共哲学の視点が必要であるように。


🌿 キルケゴール哲学は“使える哲学”である

私が特に惹かれるのは、キルケゴール哲学です。彼の思想は、抽象的な体系ではなく、自らの生活から生まれた「生の哲学」でした。

彼の言葉はいつも、実存(existence)という“生きている人間”に向いています。だからこそ、生活に還元できる哲学であり、つまり“使える哲学”なのです。

教育や地域づくり、キャリア形成などの現場でも、「キルケゴール的な視点」は意外なほど役立ちます。それは、「関係」という根本的な問いをたえず問うてくるからです。

🌏 地域創生と哲学の接点

地域創生の本質は、「人と人との関係を再設計する」ことにあります。キルケゴールの哲学が扱うのも、まさに“人間の関係性”です。自己と他者、個と共同体。

この二つの学問が交わるところに、「生きる学問」としての哲学の再生が見えてきます。

私は、こうした学問の“架け橋”を見つけることにこそ、21世紀の教育の可能性があると考えています。

✳️ 終わりに──学問を「生きた知」へ

哲学を、日常へ。
学問を、生活へ。

「使える哲学」は、単に実用主義的な思想ではありません。人間の生き方や社会のあり方=関係=価値を、もう一度自分の足元から考えるための道具です。

そんな哲学を学べる大学院があるなら、私は即座に行きたい。
学問を「閉じた知」から「生きた知」へ。
人見読解塾は、これからもその橋をかけていきます。


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高校生が陥る小論文の2大誤解|正しい対策と勉強法

はじめに
総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜、さらには国公立大学の二次試験で課されることも多い「小論文」。多くの受験生にとって避けて通れない科目ですが、正しい勉強法を理解している高校生は意外と少なく、誤解に基づいた対策をしてしまうケースが後を絶ちません。

結果として、「合格レベルに届かないまま受験日になった」「時間切れで未完成の答案を提出してしまった」という経験をする人が多いです。

このコラムでは特に、高校生が陥りやすい小論文に関する2つの誤解を取り上げ、それを正しく理解したうえで、どのように勉強すればよいかを解説します。複数の大学教員にレポートや卒論を評価され、現在も大学教員と勉強と酒をとおした親交のある私が解説します。


誤解1:小論文は「難しいこと」を書かなければならない
小論文と聞くと「専門用語や難しい知識を盛り込まないと評価されない」と思い込む高校生が多くいます。ですが、これは大きな誤解です。

実際に小論文で大学側が見ているのは、難解な言葉を並べられるかどうかではなく、論理的に筋道を立てて考えを展開できるかです。

「こうなれば次にこうなる。その結果こうなる」

「もしこうならば、こうなる」

といった因果関係・条件関係を整理できるかどうかがポイントです。つまり評価されるのは「難しさ」ではなく「論理のわかりやすさ」。


難しい言葉より大切なこと
むしろ、背伸びして難しい言葉を多用すると、論理の筋が見えづらくなり減点されてしまうこともあります。大学の先生方が評価したいのは、自分の言葉で物事を整理し、根拠をもって意見を展開できる力です。

👉 小論文は「地に足のついた思考」をわかりやすく表現する場。難しい言葉より、正確な論理の積み重ねこそが評価されます。


誤解2:小論文は3か月で仕上がる
もう一つの誤解は「3か月あれば小論文は完成する」というものです。確かに、課題文の要約や傍線部の説明といった設問であれば、3か月の練習である程度対応できるようになります。

しかし、本番でよく出題される 「著者の主張をふまえ、自分の意見を述べる問題」 は、3か月の対策では太刀打ちできません。


なぜ3か月では不十分なのか?
自分の意見を書くためには、単に著者の主張をなぞるのではなく、その背後にある上位概念を洞察する力が必要です。例えば、環境問題についての文章なら「資源の持続可能性」や「人間と自然の関係」「理性と倫理の対立」といった、より抽象的で普遍的なテーマにまで思考を広げなくてはなりません。

この力は短期間のトレーニングでは育ちません。日頃から多様な文章を読み、要約や意見文を書く練習を重ねても身につくかどうか・・・・。上位概念をそれと教えてくれる教員がいないと、高校生ひとりでは無理でしょう。学部レベルの思考です。しかし、小論文の「正解」はそこです(小論文ってじつは「正解」があるんですね・・・・)。

👉 小論文は「直前詰め込み」で伸びる科目ではなく、長期的に育てる科目だということを理解する必要があります。暗記ではなく「思考のルート」を育成する科目ですから、長期間かかるのです。


小論文で求められる本当の力
大学入試の小論文で本当に評価されるのは次の2つです。

- 論理的思考力
 地に足のついた論理で、自分の考えを一貫して展開できるか。

- 上位概念を洞察する力
 著者の主張の背後にある普遍的なテーマにまで視野を広げ、自分の意見を重ねられるか。

この力を養うには時間が必要です。だからこそ、早くから小論文対策を始めた受験生が合格を勝ち取るのです。


正しい小論文対策の進め方
1.基礎期(半年〜1年)
課題文の要約練習

接続詞や論理関係に注目した読解練習

短い意見文の作成

2.応用期(3か月〜半年)
過去問を用いた演習

著者の主張を整理し、自分の意見を結びつける訓練

添削指導を受けて「再現性」を高める

3.直前期(1〜3か月)
過去問演習の反復

書き間違えた答案や、根拠が弱い答案を徹底的に改善

制限時間内で書き切る練習


まとめ
小論文は「難しいことを書けばよい」「3か月で完成する」と誤解されがちですが、実際にはまったく逆です。

誤解1:難しい言葉や知識が必要 → ✕
👉 必要なのは「平易な言葉で筋道を立てる力」

誤解2:3か月で仕上がる → ✕
👉 必要なのは「上位概念を洞察し、自分の意見を展開する力」

小論文は、1年かけてじっくり対策することで初めて合格レベルに到達できる科目です。だからこそ、早めに準備を始めた人が他の受験生と差をつけ、合格に近づけます。

総合型選抜や学校推薦型選抜を考えている高校生は、今すぐ小論文対策に取り組みましょう。地に足のついた思考と上位概念の洞察力を育てることが、志望校合格への最短ルートです。

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志望理由書|「自分らしさ」を発見する方法とは?

今の高校生は大変で、個性を伸ばせと言われたり、志望理由書に自分らしさを書けと言われたり、さまざまな自己分析を強要されます。まことにかわいそうです。

なんとなく流れに乗って30歳くらいに研究テーマがやっと見つかって、 50歳で花開いて、みたいな大器晩成型の人生を社会が歩ませてくれません。かわいそうに。

さて、志望理由書に自分の長所や短所を書かなくてはなりませんが、いわゆる自分らしさはどうやって発見すればいいのでしょうか?

誰かと対話することによって発見するしかありません。

自分が意識している長所短所なんてたかが知れてます。私たちは自分が意識してないことに支配されつつ生きているからです。
このことは、フランスの精神分析医であり哲学者であるジャック・ラカンが述べていることです。フランス哲学、あるいは身体論といったものは、日本ではほとんど研究している人がいませんが、ジャック・ラカンは、フランスでは、教養の1番に数えられるほど有名な人物です。

で、他者と対話しながら発見した自分の長所短所をどのように志望理由書に編み込んでいけばよいのでしょうか?

それはすでに、ネットにたくさん雛型があります。すなわち過去現在未来でストーリーを組むことです。高校時代〇〇を頑張って来てきた。大学では〇〇を研究したい。将来は〇〇をやりたい。というストーリーの中に、自分の長所短所を組み込んでいきます。

ストーリーというのは、テーマが1つしか入らないものです。皆さんこれができません。1つのテーマに基づいてストーリーを組み、かつその中に自分の長所短所を入れていくのが志望理由書ですが、皆さんそれができません。

テーマを1つに絞るというのは、簡単に言えば大人の社会で最近流行っている「セルフブランディング」と全く同じです。私は読解塾を主宰する傍ら、セルフブランディングの会社も経営していますので、よくわかります。私たちはふつう、雑多なことをなんとなくやってきた結果、今の自分が存在していると認識しています。しかし、志望理由書が求めてくるのは、あなたの人生のテーマを1行でキャッチコピー的にまず作った上で、あれこれと枝葉を埋めろといっています。こんなものは大人でもなかなかできることではありません。

ありとあらゆることを捨象した上で、1つのキャッチコピーを作るのです。 プロに任せた方がよっぽど楽です。任せないと漫然とした作文になります。高校の先生も、明るく元気でコミュ力の高い高校生の域を出ない作文的な添削しかしてくれません。
困り果てたら、ぜひご相談ください。

合格する志望理由書の書き方

志望理由書は「過去、現在、未来」というストーリーで書きます。具体的には以下。


高校でこういう勉強をやってきた。その結果、これがわかった。これができるようになった。しかしこれがわからないので、貴学貴学科で勉強したい。卒業後はこういう仕事をとおして、こういう社会貢献をしたい。


これだけです。

わたしたちはふつう、さまざまなことをやって今の年齢になっています。その膨大なやったことの中から1つ、軸を見つけるのです。

それはふつう、他者との対話をとおしてでしか決まりません。自分は自分の過去を「さまざまなことをやってきたふつうの高校生」としか認識していないからです。だれかと対話することによって「軸」を「見つけてもらう」のです。

また、こういう勉強をしてきたので大学でこういう研究テーマで研究したい、と書く際の研究テーマがものすごく重要です。

テーマ=問いには、本物の問いと偽物の問いがあります。偽物の問いを書いたのでは話が膨らみません。その必然の結果、なんの魅力もない志望理由書になります。

対話をとおして「軸」を見つけ、かつ研究テーマをつくる。これが志望理由書の肝になります。

合格する志望理由書の書き方2

先の項で、合格する志望理由書の書き方について申し上げました。すなわち、過去、現在、未来という型で書くのだと申し上げました。

もうひとつ重要なことがあります。それは、大学における研究テーマを1行で表すことです。部活の全国大会で優勝したとかといった華々しい戦歴を書いても合格しません。高校時代ボランティアも頑張って、そのことによって協調性を身につけました、コミュニケーション能力が向上しました、とかと書いても合格しません。みんな同じことを書いてくるからです。

大学の先生、すなわち採点者が知りたがっているのは、あなたがどのような研究テーマに興味があるのかです。また、その研究テーマを我が校でどのように研究したいのかを具体的に考えられているかどうかです。

それを書こうと思えば、誰かと会話するしかありません。高校生の頭で考えうることは極めて限定的だからです。

私は生徒さんにまず、自由に志望理由書を書いてきていただきます。文章が書けない人は箇条書きでもかまいません。それをもとに、その生徒の良さ(善さ)を私が発見します。同時に、本当はこういう研究テーマで研究したいと思っているのではないかという、「本当はどう思っているのか」を発見します。これらは対話によってでしか発見できないことです。

その2つのアイディアを出した上で、志望理由書の書き直しを宿題にします。私は無料で何回も添削していますから、何日かすれば修正された志望理由書が送られてきます。それに対して赤を入れたり、コメントをしたりします。

次の授業で、それをもとに再び会話をします。

そのようにして研究テーマが定まります。言うまでもなく、これまでの活動に依拠した研究テーマです。そのようにして志望理由書が完成します。

それで不合格になったとすれば、それはあなたより優れた研究テーマを持っている生徒が受験したからです。あるいは、高校と大学との裏の連携によるものです。どうしてもこの高校の生徒は合格させなくてはならない、といった「連携」のある大学はあるので。

「自分で決める学び方」で人生が変わる ~中高生に伝え続けたい「選択」の話~

学校の探究の授業で自分が探究するテーマを決めると思います。しかし、ふつうはなかなかテーマが決まらないでしょう。それは当たり前で、本を読まないと問いなど生まれてこないからです。

生活の中や学科の勉強の中で問いが生まれてきた人はラッキーです。問題意識を持って主体的に勉強に取り組めている証左です。

さて、受験勉強はみずから主体的に勉強する姿勢があれば、わりとすんなり志望校に合格するものです。これまでたくさんの生徒を見てきて、私はそう思います。合格しなかった生徒というのは、受験の本当の直前までやる気が出なかった生徒です。2勝5敗とか 1勝7敗というようなギリギリで合格している人は、10月を過ぎてやる気を起こして、3か月でどうにかした生徒です。

基本的には、受験というものは、自分の管理が自分でできていれば思うような結果に届きます。それで思う結果を得ることができなかったというのは、勉強のやり方を間違っているだけです。

例えば、12月になれば、駆け込み寺のように駆け込んでくる生徒さんが毎年いますが、どうにもならない生徒はどうにもなりません。英語で言えば音読の絶対量が不足しているので正答率が低いわけですが、1ヶ月で音読の絶対量を増やすのは物理的に無理です。したがって、どうにか小手先のテクニックで点が上がるように指導しますが、当たり前ですが、3年間みっちりと音読の練習をしてきた受験生が大量にいるわけで、当然負けてしまいます。

* * * *

受験勉強も人生も、みずから主体的に何かを選ぶことが重要です。指示待ち人間では人生自体がぱっとしません。当たり前ですが、受験の結果だってぱっとしたものにはなりません。

例えば、冒頭に書いた探究活動において、文科省は生徒の自主性を伸ばそうとしているのでしょうが、「さあ、自分で考えよう!」と言って考えることができれば、誰も苦労しないという話です。

考えるには技が必要です。その技を誰から学ぶのかという話です。
私は哲学をやっていますから、ある程度、論理的思考力と呼ばれているものにパターンがあることを知っています。また、歴史に名を残す哲学者の考え方も、いくつかは知っています。例えば、デカルトは、ありとあらゆるものを疑った結果、理性と言い出しました。「もし私が悪魔に騙されていたらどうしよう」とまで疑ったわけです。そういうのは何も荒唐無稽な話ではなく、ひとつの考え方なわけです。

そういった考え方の型を知らないと、みずから主体的に考えることができません。仮にできたとしても「これは考えてはいけないのではないか」というストッパーが外れません。なぜなら、これまで大人=文科省=学校の先生が「よい」と判断した枠の中で「培養」されてきたわけですから。

余談ですが、私は永井均氏の哲学から、「考えてはいけないことはなに1つとしてない」ことを知りました。知った瞬間、おおきく人生が変わりました。その結果、出版社が3冊も本を全国発売してくれました。哲学エッセイです。出版記念で、出版社がAKB48のある人との対談を組んでくださいました。みずから主体的に生きると、人生おもしろいことが起こります。

というわけで、自分で学び方を決めて、自ら主体的に勉強しようと思えば、あるいは自ら主体的に生きる生き様を目指そうと思えば、ある程度、それができている先生につくのがベターです。生き様というのは良き師に導かれたら、いくらでも変更可能なものです。 

またまた余談ですが、私の師は、日本大学と早稲田大学で哲学を教えておられたE先生と、理系の大学および大学院で生物学を教えておられたN先生、それに現在の哲学の先生(中島義道先生と福田肇先生)です。大人は楽しいもので、ときには泥酔してもなお、モノを教えてくださいます(笑)。有難い話です。


1から10まで手取り足取りやってくれる先生につくから、いつまでたっても主体的な勉強態度が身につかず、その結果、大学受験に失敗するのです。多少失敗してもいいから、まず思う通りにやってごらん、とボールを投げ、そこで苦戦している姿をじっと見つめつつ応援してくれ、適宜なんらかをアドバイスしてくれる。なんなら考え方の型も教えてくれる――そういった先生につくという「選択」をぜひなさってください。生き様はいくらでも変更可能です。

ちなみに私のような年、つまり49歳になっても、変更は可能です。優れた先生は、昨日と同じ自分であってはならないと肝に銘じ、日々勉強しています。すなわち自分を変革させようと努力しているのです。

志望理由書の書き方のコツ

志望理由書には「ストーリー」を描かなくてはなりません。


――これまでこのような活動をしてきました。そのことによって、こういうことが分かりました。しかし、ここから先は高校生ひとりでは分からないので、大学で勉強したいです。具体的にはこういう勉強したです(研究概要書ふうに)。その勉強が終わったのち、すなわち大学卒業後は、こういうふうに社会貢献をしたいです。

という一貫したストーリーを作ることが重要です。

ストーリーを書くわけですから、自分がやってきた活動をあれもこれも並列的に書くわけにはいきません。もちろん、ストーリーの中にうまくあれもこれもの活動実績を盛り込めればベターですが、テーマから外れる活動は盛り込めないと思ってあきらめたほうがいいかもしれません。

とにかく大切なことは、ストーリーです。このストーリーのことを大人の世界ではセルフブランディングと言います。特に大人は、あれもこれもたくさんの活動をしてきた結果、今があります。それらの多くを捨象し、1つのテーマに向かって自分のストーリーを作っていくのです。

もちろん、嘘を書いてはいけません。しかし、「プロデュースする」ことはOKです。1つのテーマに向かって自分の活動実績を自分でプロデュースする。そういった視点で志望理由書を書けば、合格に値するものが書けます。

合格する小論文の勉強法のポイントとは?

小論文は3か月も勉強すれば型どおりに書くことができます。しかし、マーチクラス以上の大学や国公立大学、あるいは医学部を受験なさる方は、それだけでは不十分です。課題文から論点を導出することが求められます。こればかりは高校生が一人で勉強することはほぼ不可能です。論点を導出することのできる先生について勉強する必要があります。

例えば、新聞の社説をもとに小論文の授業をしてほしいと申し出た生徒がいました。毎回私は、生徒が提示してくる社説を初見で読み、論点を整理した上で、その論点にもとづく視点をいくつか提示しました。ライブ感ある楽しい授業でした。

例えば、教育格差について論じている社説の場合、社説の著者は教育を受ける機会は平等であるべきだという「思想」にもとづいて論じていましたが、その前提に何ら触れていませんでした。私は即座にそのことについて指摘しました。

また、「そもそも平等とは何か」という視点を提供しました。近代法の発生における平等の概念についても説明しました。ニーチェの思想についても説明しました。

というような感じで、小論文の課題文にはいくつもの視点が内包されています。それらを洞察する力が求められます。そのためにはまずは、視点をとることのできる先生について、そのやり方を教わることです。次に、見よう見まねでかまいませんから、それを実践すること。さらに、その視点をもとに小論文を組み立ててみることです。

課題文の「要約」のしかたとは?

多くの大学の小論文入試は課題文型です。課題文を読んで、(1)課題文を200字で要約しなさい(2)課題文をもとに〇〇について論ぜよ。という出題形式です。

1,要約のしかた
どんなに長い課題文であっても、どんなにわけの分からないことを書いている課題文であっても、課題文が持つ情報要素は3つです。(1)問い=テーマ(2)主張(3)論拠 です。

大学入試の小論文における要約はおおむね200字前後、多くて400字ですので、まずはその3つを本文から抜きます(600字の大学は、課題文のアタマから著者の主張をとらせる、すなわち論の流れを追わせることを意図しています)。自分の言葉でまとめるのではなく、できるだけ本文の言葉を使って書く、すなわち本文を抜き書きするのがベターです。

こういうのは課題文を何回も読むしかありません。本番で時間がないのであれば、練習の時、すなわち日々の勉強において、同じ課題文を10回でも20回でも、納得のいくまで読むのです。その訓練がないと要約はできません。つまり問1の「要約せよ」という問題は、ふだんからちゃんと「読む」訓練をしている生徒か否かを大学側は見ているのです。そういう出題意図なのです。


問いと主張と論拠を本文から抜いても既定の文字数に達しない場合は、何らかの情報要素が欠けています。入試においては、時間がないので「例えば」と書かれているところから適当に文字を抜いて文字数の帳尻を合わすというのは仕方ありませんが、できればそれは避けたいです。

ではどうするのか? たとえば、問いの前提となる情報が抜けています。あるいは、論拠のさらに奥にある論拠が抜けています。そのへんの情報を本文から集めていけば、たいていは既定の文字数に達します。


2,問2は問1ができていないと書けない
要約ができなくても問2で自分の意見くらいは書けるはず! というへんな自信を持っている人は、今すぐその自信を捨ててください。作問意図として、問1がある以上、問1ができていない人の問2の論述は読んでくれないと思ってください。課題文を正確(精確)に読めていることを前提として、問2が存在するのです。

したがって、問2の「〇〇についてあなたの意見を論ぜよ」というのは、自由に書けと言うことでは決してありません。要約をとおして見えてきた著者の主張をもとに、なんらかを論ずるのです。そのスタンスでいけば必ず、問2で書くべきことが見えてきます。それが見えてこないということは、要約ができていないということであり、入試的にいえば、 The  END  となります。

新高3生がやるべき小論文対策とは?

毎年夏休みが始まる頃に、大量に小論文の指導依頼が来ます。それで手遅れだと感じの人もいれば、「まあ3か月あればどうにかなるだろう」という人もいます。たいていの人は文字が読めるし書けるので、「小論文は簡単だ」と誤解しています。

さて、以下に新3年生がやるべき小論文対策の概要について申し上げます。今から始めると、まだ8か月、あるいは10か月、あるいは12か月ありますから、充分な対策が可能です。ぜひご一読の上、参考になさってください。


01:課題文の要約ができるようになろう
早稲田大学など一部の大学を除き、基本的には課題文が出され、問1で課題文の要約を書き、問2で自分の意見を述べるというスタイルになっています。要約というのは文章を圧縮するわけですが、圧縮テクニックを知らないと少々厳しいのが実情です。
テクニックを知り、それがあなたの体に定着するまで、3か月はかかります。


02:小論文には正解があると骨の髄まで理解しよう
課題文型の小論文には正解が存在します。なぜ課題文を出しているのか、その出題意図を考えれば明白なことです。当たり前のことですが、課題文における著者の主張を論点とし、その主張をどのように調理するのかが合否を分けます。要するに、「視点のとり方」が合否を分けます。
視点のとり方は言葉で説明すると30分もあれば説明できますが、実際に自分ひとりでできるようになるには半年1年はゆうにかかります。その訓練をした受験生だけが合格します。


03:背景となる知識を習得しておく
偏差値50前後の大学に多いと私は理解していますが、例えば、現在の日本経済のことや、少し前のアベノミクスなどの知識がないと論述できない問題があります。あなたが受験したい大学の過去問を即座に確認してください。
背景となる知識が少ないとおそらく落とされるように思います。


さいごに
早稲田の「ゲームについて論じなさい」というたった一行の問題から、4000字に及ぶ超長文を要約させる大学まですべてに共通して言えることは、ある程度「読む」と「書く」のスキルを高めないと、総合型選抜における合格は厳しいということです。読むと書くのスキルはちょっと受験生に文章を書かせたらすぐに見抜かれる性質を持つ能力です。普段から勉強などほとんどせず、勉強から逃げるように部活ばかりやり、受験間際になって形ばかり小論文の勉強をしたというのは、すぐにばれます。

国語や数学などの勉強以上に、勉強に対する姿勢や物事から逃げない真摯な生きざまが顕現するのが小論文入試です。そのことをご理解した上で、向こう1年の勉強計画を立ててください。

合格する小論文の書き方 ~いつからどのように書くべきか~

基本的には問われていることに対して適切に応えるといった書き方ができればOKですが、そう言ったのではとくに初学者は理解できないでしょうから、以下に具体的に述べます。

1,問いを整理する
〇〇の背景を考慮しつつ××について論ぜよという設問であれば、〇〇の背景と××の2つを書く必要があります。

2,問いの意味を洞察する
たとえば、学び続ける教師のありかたについて論ぜよという問いの場合、当然、学び続ける教師とはこういうありかたをすべきだ、という主張を書くわけですが、多くの人とが論じきれないのは、学び続ける教師とはなにかという問いに対する考察ができないからです。つまり、問いが「じつは」何を意味しているのかを洞察できないと散漫な文章にしかならないのです。このことは、実際に大学教員が言っていたことです。大学教員は入試に関して守秘義務を負っているのではっきりとは言いません。しかし、言葉の端々からわかるんですよね~。

3,主張と根拠を書く
洞察できればおのずと主張と根拠が生まれます。すなわち学び続ける教師とは〇〇であるゆえ××というありかたをすべきだ。なぜなら~、と、こう書けます。

4,対策は高2からはじめたい
かたちばかりの小論文は1ヶ月もあれば書けるようになります。しかし、大学の先生、すなわち採点者が見ているのは洞察です。学び続ける教師とは〇〇である、という洞察こそを見ています。その洞察は1ヶ月やそこらちゃちゃっと対策したからといってできるようになりません。なるはずがない。ゆうに1年はかかります。

5,おわりに
原稿用紙の使い方や段落の組み方といったごく表層的なテクニックは1ヶ月もあれば身につきます。しかし、そんなことはできて当たり前のことです。かたちばかりの小論文は大学教員に見抜かれる、ああこの生徒はたいして勉強してきてないなと見抜かれる。そう肝に銘じるべきでしょう。

自己PRシート(志望理由書)に書くことがない人へ

ごく普通に高校生活を送ってきたら、自己PRシート(志望理由書)に書くことなどないに決まってます。それにもかかわらず、今の総合型選抜は高校時代にやったことのうち、他人に誇れることを書けとか、あれこれ無理難題を言ってきます。私の先生など(私にも先生がいます)、「志望理由書に書くことがない人がなぜ総合型選抜を受けるのか」と、授業で生徒を罵倒するそうですwww したがって、その先生の授業はタオル持参(泣くから)と生徒の間で言われているそうです。


さて、自己PRシート(志望理由書)に書くことがない人はまず、何をやってきたのか、正直に箇条書きにしてみてください。ボランティアを1回だけやった。小説を読んだ。文化祭でダンボール集めを頑張った。とか、そういったごく普通のことでかまいません。


次に、それらの素材が「実は何を意味するのか」を考えるのです。そんなこと、おそらく高校の先生も一緒に考えてくれないと思います。あなただって、お父さん、お母さんだって、考えることができないでしょう。そういうときはぜひ私のもとに来てください。と、宣伝になって申し訳ないのですが、私は哲学を今でも勉強していますから、普通の素材が実は何を意味するのかを言語化するのが得意です。


例えば、半年間ダンス部で活動した。その後、図書委員を3ヶ月やった。アルバイトを3つやった。ボランティアを2つやった。メイクが好きでメイクに凝っていた。探究の授業でメイクについて発表した。そのようなごく平凡な生徒が私のもとに駆け込んできました。来週までに自己PRシートを完成させなくてはいけないという急患です(うちは本当に急患が多い)。私はそのそれらの素材をもとに、

1,幼少期から人間好きであること

2,大学に入ったらメイクを軸として、心理学や哲学、コミュニケーション論、多文化論などを学際的に学びたいこと

3,他者にメイクを施すことで、施された人が自己愛的に美に目覚めるというより、他者に対して開かれた精神を持てるようになる、そんなふうにメイクを活かす仕事に就きたい(卒業後の社会貢献)

などを柱として、その生徒さんと一緒に自己PRシート(志望理由書)をまとめました。

というような感じで、志望理由書というのは、なんらか1本柱が必要なのです。過去、現在、未来をつなぐ柱を洞察することができれば、素晴らしい自己PRシート(志望理由書)になります。

プレゼンテーション型の小論文の書き方

総合型選抜におけるプレゼンテーション型の小論文の試験は、その対策ができる塾が少ないようで、私の小さなオンライン塾に9月だけで3人の受験生がお越しになりました。それぞれ、5回、10回といった短期集中で授業を行いました。
今回は3人のうち1人の生徒さんが大学からいただいてきたサンプル問題をもとに、プレゼンテーション型の小論文の書き方についてお話したいと思います。

仮説を述べる
サンプル問題は、いくつかの資料を提示された上で、資料を参考にある地域の活性化について10分でプレゼンしてくださいというものでした。2時間の準備時間を与えられ、2時間のうちに資料を読み解き、プレゼンシートをまとめ、300文字の要約文を完成させプレゼンに臨むという流れだそうです。


さて、こういった問題における要諦はなにか?
おそらく多くの人が与えられた資料から何らかの課題あるいは問題を抽出し、その解決にふさわしいと思われる具体的な施策案を3つ4つ書くのだろうと思います。しかし、それは不十分です。資料から課題を抽出したのち、「なぜそういった問題が生ずるのか」について仮説的に述べる必要があります。そして、その仮説からおのずと導き出されるアンブレラ(上位概念)が施策の大テーマになります。その大テーマに沿って具体的な施策案を4つほど書けばいいのです。

プレゼンテーションの説得力とはなにか?
問題の背景を洞察し、そこから施策の大テーマ(アンブレラ)を導き出さないとどうなるのかといえば、説得力に欠けたプレゼンになります。プレゼンを聞く側は「なにもこの施策じゃなくても別の施策でもいいんじゃない?」と、こう突っ込むでしょう。例えば「ゆるキャラを作ったところで、それをどうやって認知拡大させるの? 地方には高齢者しかいないんだよ」などといったツッコミが必ず来ます。それを言わせないようにしようと思えば、問題の背景を洞察し、その洞察にもとづいて施策の大テーマ(概念=アンブレラ)を作るのです。

まとめ
資料から問題点を抽出したら即座に、その背景を洞察し、その背景からプロモーションを貫くアンブレラを作る。こういった思考をします。それができれば、おそらく及第点はとれるでしょう。

小論文に「正解」は存在します|合格する総合型選抜対策

総合型選抜や学校推薦型など、推薦入試を受験なさる受験生の皆さん、小論文対策は進んでいますか? 今日は、小論文には正解が存在する、ということについてお話したいと思います。

小論文における正解とは?
端的に申し上げれば、課題文型の小論文に関しては、正解が存在します。何が正解かといえば、課題文から浮き上がってくる論点を的確に押さえられていれば、それが正解です。

例えば、科学と倫理が課題文において対立しており、かつ著者が倫理にアクセントを置いている場合、著者の主張は「科学も大事だが倫理の方がより大事ではないか」というものだったりします。ざっくりした説明で申し訳ないのですが、要するに課題文というのは、2つの概念の対立構造で成っており、著者は必ず、どちらかにアクセントを置いているものです。

課題文から対立する2つの概念と、著者の主張をとることができれば、それが正解です。

あとは書き方の型を押さえておけばどのように書いても特に差し支えないでしょう。ただし医学部や看護学部など倫理を重視する学部学科においては、倫理について熟考のうえ、「人間とは何か」を「情緒的ではない書き方で」論述できればベターでしょう。

小論文の難問
課題文が与えられない小論文の場合、出題傾向は2パターンです。

1つは、例えば「多様性について多角的に800字で論じなさい」という比較的柔らかいもの。

今1つは、例えば「本物とは何かについて1000文字くらいで論じなさい」という、どこから手をつけたらいいのやらさっぱりわからないもの。

その2つに大別できます。

前者はおそらく、複数の見方を並列で提示できればよいので、ある程度いろんな小論文の先生が教えることが可能だと思います。

後者が難しい。したがって、高偏差値の大学でしか出題されない傾向にあります。

例えば、早稲田大学の問題はたった1行でした。「ゲームについて1000文字程度で論じなさい。」

お茶の水女子大の過去問もたった1行です。「本物とは何かについて論じなさい。


泣きそうでしょ?


演繹法で考えても帰納法で考えてもどちらでも構いませんが、例えば、本物とはなにかという自分の主張と、なぜそう考えたのかという根拠(論拠)を書けばよいです。(例:本物とは錯覚がもたらす思い込みのこと(偽の概念のこと)である。なぜなら、あるものを本物と断定する根拠となる素材の真偽は究極的には真と言い切れないからだ。)


「正解」の小論文を書くコツ
最後に、「正解の小論文」を書くコツについてお話します。
課題文の中から論点をとり、かつAとBどちらに著者がアクセントを置いているのかが分かれば、基本的には著者の意見に賛成したほうがより正解に近い小論文になります。このことは私の読解塾だけでなく、ほかの塾でも教えているはずです。

問題はそこから先です。「優等生的解答」を目指すあまり、著者の意見に賛成したのち、著者の意見をなぞるようなことしか書かない(書けない)から落ちるのです。

そうではなくて、著者の意見の(言い方は悪いですが)粗を探すのです。そうすると例えば、「著者の意見に賛成だが、ここの部分はこうではないか」というような書き方になります。それが書けないのは、読むと書くの訓練を積んでこなかったからです。「こういうことは書いてはいけないのではないか?」「著者に反論などしてはいけないのではないか」と考えるのは、本を読んでこなかったからです。文章というものを書いてこなかったからです。

どのような優れた主張にも、粗は必ずあります。言い方を変えれば、完璧な主張――反論が来ない主張など存在しません。存在するとすれば、それは宗教です。「宗教」を書いて合格できる大学なんてあるのでしょうか?

すべての主張には粗があります。抜けがあります。そこを洞察する。そういった小論文を書くから合格できるのです。

自己推薦書の書き方|総合型・学校推薦型対策

自己推薦書とは、あなたがその大学にふさわしいことをアピールする書類です。

自己推薦書に書くべきこと
1,自分のPRポイント

2,その裏付け

3,入学後にそれをどのように活かせるのか

4,入学に対するの覚悟


自己推薦書を書く際の注意点
1,志望理由書も書く場合は、自己推薦書に書く内容と志望理由書に書く内容が有機的にリンクしていること

2,学業に関してアピールしたい場合はアカデミックライティングを意識すること

3,当たり前だが、大学のHPなどをしっかり読み込むこと。付け焼刃的な書き方は「すべて」バレる

4,一読して何が言いたいのか即座にわかること(結論から書かなくてもよいが、その場合は、例えば時系列で書いてあることが一読して分かるなどの工夫は必須)

5,志望大学(や学部学科)に自己PRのポイントを「寄せる」こと

6,自己PRのポイントは1つに絞る。文章は1つのテーマに向かえば向かうほど読み手が納得するからです。アピールポイントが2つ以上ある場合は、書き方を工夫すること


合格する自己推薦書を書くコツ
書いたものを誰かに添削してもらうこと。
できれば大学に先生と親交のある私のような人に添削を依頼すること(宣伝ではない)。大学の先生が「何に感じるのか」がわからないと「その他大勢の高校生」の書いた文章になってしまい、一次選考で落とされる可能性が生じます。「落とす要素のない文章」を書くこと。

たとえば、なんらかの研究を高校生としてやってき、大学でもその研究をやりたい場合、ここまで研究したがここから先はわからないかったから大学で学びたいなど「わからなかったこと」を正直に書くと、大学の先生はなんらかを「感じます」。学問の前で謙虚ないい生徒だ、くらいのことは思うのです。

嘘を書いてもいい?
嘘を書いてはいけないとはどこにも書かれていません。面接で「回収」できるほどの嘘であれば書いてもOKではないでしょうか。しかし、たいていの嘘はバレます。大学の先生は「その道」の「職人さん」なので高校生の嘘など簡単にバレるのです。

アドミッションポリシーとリンクさせる
以上が基本的なことです。最後に、合格しやすい自己推薦書や志望理由書の書き方について説明します。

それはズバリ、アドミッションポリシーとリンクさせて書くということです。

例えば、アドミッションポリシーに「うちの大学は地域医療に主眼をおいている」と書いてあった場合、あなたの志望理由は「地域医療に貢献できる医者になりたいから」となるでしょう。また、高校時代に熱心に取り組んだことは「寒村に住む人々の生活について自由研究した」などというのがベターな解になるでしょう。


もちろん多くの高校生は、高校生活のスタートと同時に、志望する大学のアドミッションポリシーなど読んでいないでしょう。まれに、例えば早稲田大学を総合推薦型で目指そうと決心した高校1年生が、アドミッションポリシーに書いてあるようなボランティア活動をしたり、というような感じで、アドミッションポリシーから逆算して高校生活を設計する人もいますが、そういう人はまだまだごく少数でしょう。


しかし、何の心配もいりません。
ある程度、自己推薦書や志望理由書に書くことのある人は、そのネタをアドミッションポリシーの方に寄せつつ執筆すればいいのです。それは実はさほど難しいことではありません。生徒さんが私に見せてくださる自己推薦書のいくつかは、すでに高校の先生の添削済みのものであったりしますが、高校の先生もうまくアドミッションポリシーの方に寄せて改変してくださっているようです。

というわけで、アドミッションポリシーと自己推薦書や志望理由書をリンクさせつつ書いてください。

総合型選抜における合格する小論文の書き方とは?

はじめに

小論文とは「論文」の「小」さなものであり、それを採点するのは日々学術論文を読んだり書いたりしている大学の先生です。したがってごまかしが一切きかない科目です。

ところで、ご存知かと思いますが、論文には書き方の型があります。型は「人が知りたいと思う順番」をそのままなぞったものであり、むずかしくありません。

たとえば、「今夜は夕飯いらない」と、あなたがお母さんに言った場合、お母さんは「なぜいらないのか」を知りたいと思うでしょう。それと同じです。

小論文にも、こう書いたら次はこう書く、という型があるので、その型の中に「自分の考えを入れていく」のです。

誰でも練習すれば上達しますので、一緒に頑張ってやっていきましょう。


総合型選抜の小論文「出題形式」

1,テーマ型

テーマや問いだけが与えられているものをテーマ型といいます。例えば、早稲田大学でかつて出たのは「ゲームについて論じなさい」というだけの問題。なかなかでしょ?


2,課題文型

課題文と設問が与えられている問題です。ざっくり言えば、国公立大学の二次試験の現代文の問題をやや短くした感じの文章が出ます。設問も「著者はなぜそう主張するのか、解答せよ」とか、「傍線部とはどういうことか、説明せよ」などといった国公立の二次試験に近いものですね。したがって、そういった対策をすればOKです。


3,資料グラフ型

図表と問いが与えられている問題です。グラフや表の読み取り方も決まったパターンがあるので、それを勉強すれば、一部の大学を除いて、さほど難しくはないでしょう。


総合型選抜の小論文「どんなスキルが必要?」

1,要約・読解型

国公立の二次試験のように「著者の主張を要約せよ」といった問題が出る大学もあります。これは小論文対策というより国公立の二次試験対策をしよう。


2,議論型

提示された意見に対して賛成か反対かを述べ、その理由を具体例を交えつつ論じる(論じている風に書く)というものです。これは小論文の基本みたいなものなので、小論文の参考書ではなく問題演習を通して習得しておくといいと思います。大学に入ってレポートを書くときにも使える能力です。


3,問題解決型

戦争をなくすにはどうすればいいか、あなたの考えを書きなさいとか、何らかの問題に対する原因を洞察し、その解決策を述べるといった、これもわりとよくある出題パターンです。


こういうのは日頃から新聞を読んで社会の出来事をよく知っておきましょうと言われたりしますが、新聞を読まなくても、それなりの書き方がありますのでお教えします。なまじっか新聞を読んで浅知恵で論じても、それを採点する大学の先生は「またかよ」と思ったりもしているのです。


合格する小論文の書き方
合格する小論文の書き方は様々ありますが、1つ挙げるなら、視点のとり方で合否が決まるということが言えるでしょう。
例えば、地球温暖化が経済にもたらす影響について800文字程度で書きなさいという問題の場合、多くの受験生が(言い方は悪いですが)似たり寄ったりの小論文を書きます。多くの受験生は市販の小論文の参考書で対策しますし、それらにはおおむね同じことが書かれていますから、その出力、すなわち高校生が書く小論文は似たり寄ったりのものになります。あるいは学校の先生が対策をなさっていますから、だいたい似たり寄ったりの文章に仕上がります。その場合、段落構成を細かくチェックされて減点されたり、接続詞を使っていないといった瑣末な(?)ところで減点されて合否が決まるのが一般的な見方でしょう。

それに対して、私が生徒さんに教えているのは視点のとり方です。
地球温暖化がもたらす経済への影響をどの視点で切り取るのかが重要だということです。
たとえば、地球温暖化をどのように定義するのか?
地球温暖化は悪いことなのか、いいことなのか、そのいずれでもないのか。
地球温暖化の原因を二酸化炭素の排出量に求めるのか、どこに求めるのか。

など、考えることはたくさんあります。多くの受験生は地球温暖化というのは工業化が過度に進んだ現在の地球人の責任だというようなところから、何らかの経済ネタを絡めて論じるのでしょうが、もっと根本から考えていけば、地球温暖化は別に人為的なものではないというロジックだって成立します。地球はそんなに「やわ」なものではないわけですから。

といった感じで、視点をどこにとるのかをまず考えることで、ほかの受験生との差がつきます。参考書にある書き方の型などは書きながらいくらでも身につきます。しかし、視点は、だれか先生と対話するなかでしかとれるようになりません。

総合型選抜の小論文対策はいつから始めればいいの?

高2の夏休み明けから始めましょう。

総合型選抜における小論文の中でも、現代文の問題のように、ある程度の分量の文章を読ませて解答させる「課題文型」は限りなく国公立大学の二次試験に近いものですから、高2の夏休み明けから1年ほどかけてみっちりとやる必要があるでしょう。


他方、「〇〇について論ぜよ」というテーマ型の問題だけしか出題されないのであれば、勘のいい人であれば、3か月もあれば書けるようになります。

と言いたいところですが、実際には、「それっぽいもの」は書けていても、真には書けていません。したがって、高2の夏休み明けから始めるべきです。


2から何を勉強するのかといえば、小論文の書き方はもちろんですが、「視点の取り方」です。ほかの受験生と同じような視点をとるから、似たり寄ったりの小論文になって、不合格になるのです。

他の先生はあまり言いませんが、小論文はじつは、「視点のとり方」によって出来不出来が決まります。市販の参考書が教える「小論文の型」とか「段落構成」というのは、書く練習をするうちにやがておのずと身につきます。それに、そんなこと、なにも高いお月謝を払って塾で教えてもらわなくてもひとりでできますよね?

世間ではあまり言われないことですが、小論文は視点のとりかたが合否を分ける試験です。高3からちょろっと小論文対策した人の書いたものは、浅薄なところに視点をとっているので、そもそも論ずるほどのことではないことを書いています。だから「無難な」点をつけられます。下手すると、そこから「段落構成マイナス5点」「誤字脱字マイナス3点」などと評価されます。


他方、高2からしっかり対策した人の文章は、視点が(やや)深いところにあるので、論ずるべきことが豊富に盛り込まれた「内容の濃い」ものになります。

高校の先生も誤解していますが、小論文は「型」どおりに書けばいいものではありません。偏差値低めの大学ならそれでもいいのかもしれません。
しかし、中堅校以上の大学においては、視点のとりかたが生命線を握っているのです。

遅くとも、高2の夏休み明けから対策を開始してください。お願いします。

総合型・学校推薦型対策|関西学院大学(2024)合格する小論文の書き方と考え方

関西学院大学の推薦入試問題(2024年度/日本語小論文問題)の問題1の答え(のようなもの)とその考え方について以下に述べます。

なお(1)から(3)は割愛し(4)のみ本稿は扱います。

ちなみに(1)の答えはbです。


少々長めのブログですが、最終的に、多様性を標榜しつつ多様性を否定する行動をとる人に対して「あたおかか」と著者は言っている、というところに本稿の話は向かいます。なお、お急ぎの方は、下の方にある「課題文の上位概念を洞察する」からお読みください。


4)の解き方(ざっくりした説明)

4)はまず、「著者が考える問題点を説明しろ」と言われているので、整理してあげよう。

問題点は本文に書かれています。ものすごくざっくり言うと、「国際社会なるものを標榜している国が、そうではない国に対して、平和指導をする、それ自体が問題だ」と言っています。

もちろんこの書き方では点をくれないので、これを旨として本文の言葉を丁寧に拾って解答してください。


「落ちる」答え・考え方のご紹介

その上で、「これから国際社会がどのように平和構築をしていけばよいと思うのか、ヌエル族の例を参考に、自分の考えを600字程度で書け」と言っていますから、論述しよう。

まず「これから国際社会がどのように平和構築していけばいいと思うのか」に関して。

これは著者の意見に乗っかるのか、著者の意見の反対の立場をとるのか? というところから考えていけばいいです。

大抵の人は著者の意見に乗っかると思うので、2ページ目の傍線部をもとに自分の考え方をアレンジして論述するのかもしれません。

つまり「国際社会なるものを標榜している国家を模倣することによって「非国際国」は平和になるといった考え方が平和構築に大きな影響を与えている=それが問題だ」と書いてあるので、その著者の意見をひっくり返せば「どのようにして」平和構築をするのか? を述べたことになると考える人が多いのではないでしょうか?


また、「ヌエル族の例を参考にして書け」と書いてあるので、2ページ目の後ろ2行目~3ページ目にかけてのヌエル族の例をいくつかちりばめるといった書き方をする人が多いように思います。

しかし、それでは確実に落ちます。

合格する小論文の書き方

小論文は「起承転結で書け」など、書き方の型を教える参考書が非常に多いですが、型はネットにもあるので、それをパクればいいです。型に著作権はないからです。


合否を分ける最大のポイントは、「課題文における対立表現と言い換え表現をとる」ことです。それを取れない人は、著者の主張とおぼしき文章に自ら鉛筆で線を引き、「ここが著者の主張だと思うけど、それがなにか?」となり、そこから先、自分の考えが生まれません。


ではどうすればいいのか?

言い換え表現と反対表現を課題文の中に求めることによって「両者の間から透けて見えるもの」それが「真の著者の主張」です。

この文章だと、

国際社会=有能=普遍的かつ絶対的

現地社会=無能=社会に固有の文脈=歴史的・社会的な環境要因=ヌエル族=生活=部族

こういう方程式が成立します。なぜ成立するのかといえば、本文にそう書いてあるからです。本文に書いてあるものが「見えていない人」は即座に私の小論文講座を受講してください。

その方程式を以下に少し解説します。


課題文の「上位概念」を洞察する

この方程式はつまり、

1)国際社会なるものを標榜している人々は物事を一般化・普遍化して捉えている。

2)他方、低能と言われている戦争を始めるような国や、内戦を抱えている国の人々は、自分たちのルーツや生活や宗教といった「その国その人に固有の文脈」を生きている、となります。


この概念の上位にある概念は「理性と感性の対立」です。

理性というのは、17世紀にデカルトが言い始めました。いわゆる主知主義です。


他方、感性というのは、ジョン・ロックなどが提唱し、イギリス経験論と言われています。人は白紙の状態で生まれて、その後、何らかの経験を重ねることによってさまざまなことを白紙に書き込みつつ成長する、くらいの考え方です。
以下にそれはどういうことか説明します。


理性とは「同じ」を理解する脳のクセのこと

 理性とは「同じ」を理解する脳のクセのことです。
たとえば、リンゴとミカンを「同じ」果物と考えるのは理性の働きゆえです。果物という物体はないわけですから、要するに、「同じにする能力」を用いて、より上位の、なんらかすっきりした「概念を作る」のが理性のクセです。

他方で、感性というのは、「リンゴとミカンは同じじゃないだろ?」と言い張る脳のクセです。

リンゴとミカンが同じでないのは、誰だって見ればわかります。2つのリンゴを見比べても、細かな違いがあるのは、子どもでも分かります。世の中には2つとして同じものはないのです。

つまりこの著者は、理性と感性の対立、すなわち「『国際化』『平和』という大義名分をふりかざして、生まれも育ちも信条も違う人を「同じ」と見なしていいのか?」といっているのです。

同じと見なす人々が、内戦のある国に出向いて行って、そこにある土着の宗教や生活をぐちゃぐちゃにしつつ平和を構築している。そんな国際人の厚顔無恥がこの著者は気に食わないと言っているのです。

要するに「多様性」を標榜しつつ「本当の多様性」を否定する行動をとる人に対して「あたおかか」と言っているのです。頭で考えた多様性という「概念」でもって、現にまさにそこにある「多様性」を蹂躙するって、それ本気で言ってるの? と著者は言っている。


模範解答

と、そこまでわかれば、600字程度なら、あなたの考えが生まれてくるでしょう。

ちなみにわたしは、「国際人」がみずからのゆきすぎた「主知主義」に気づかない限り、平和構築は無理だ。したがって、理性を偏愛する人々の思考それ自体を改め、多様な在り方や考え方を是としない限り、国際社会における平和構築は難しいのではないだろうか。と書こうかなと思いました。


どう思考すればいいのか?
最後に。上記のように思考するには、どのようなに考えればいいのかについて言及します。

その答えは、問題文が内包する上位概念を洞察することです。これは高校生ひとりでは出来ないことですので、そのことこそを当塾では教えています。

上の問題文が内包する上位概念とは、理性と感性の対立です。 17世紀初頭、デカルトが理性と言い出しました。実はデカルトは「理性、理性」とは言っていないのですが(それはデカルトの主著である『方法序説』を読むと明らかです)、とりあえずデカルトが理性と言い出したことになっています。

その後、イギリス経験論が生まれ、「感性、感性」と言い出す人が生まれました。

のちに、理性と感性をカントが調停したことになっていますが、私たちの思考はどこまでいっても理性と感性に分断されています。実は分断されているというのは誤解でしかないと私は思うのですが(何人かの哲学者も誤認を指摘していますが(たとえばメルロー=ポンティ))、大学受験の問題文というのは、理性と感性の対立構造で書かれているものがほとんどです。

このことを知っておくだけで、関西学院大学レベルの大学、すなわち関関同立、マーチ、あるいはそれ以上の大学の小論文対策はかなり有利なものになります。

合格する小論文、合格しない小論文。その違いとは?

基本的なこと
例えば、大妻女子大学の小論文の過去問に「AIが与える心理的影響を多角的に論じなさい」というものがあります。高校生が思いつく限りの心的影響を、あるていど型どおりの書き方で書けばよいというのは誰でもわかると思います。

しかし、それでは不合格になる大学もあります。もちろん合格する大学もあるでしょう。どのレベルで論じられているものを合格とするのかは、大学によってそれぞれ基準が違いますから。

しかし、関西であれば関関同立レベル、関東であればマーチレベル以上の大学は、それでは落ちるように私は思います。多角的に論じろというのは、いくつもの視点を取りなさい、ということです。あるいは、1つの視点で切り取ったものを2つ以上の見方で論じるか。

前者の方法を採るなら、例えば、 AIと人間の尊厳という視点からその心的影響を論じる。あるいは。 AIが人間の情緒という言葉や数値では完全に割り切れないものに与える影響について論じる。はたまた、AIが人間の習慣的行動に与える心的影響について論じるなど、あるていど学術論文になりうるような視点を複数とっていかないと合格が厳しい場合もあります。

小論文の模範解答は掲載してくれている大学とそうではない大学があり、掲載してくれていない大学に関しては「どのレベルで視点をとれば合格できるのか」が判然としません。したがって安全を見るのであれば、視点の取り方と、その視点にもとづく論じ方くらいは勉強しておいた方がいいのではないかと思います。

基本的なことを実行するコツ
上記のことを実践するコツで最も重要なことは、「これは書いてはいけないのではないか」という自分の心の中にあるストッパーを外すことです。

高校生の多くは、「これは書いてはいけないのではないか」という気持ちを持っています。持っているように、私は授業を通して感じます。その理由はおそらく2つでしょう。

1つは、これは私たち大人がよくないのですが、学校が先生の期待に応えるところになってしまっているからです。その姿勢がそのまま、文章を書くときに現れてしまうからです。

今1つは、さまざまな思想に触れていないからです。思想といってもなにも危険なものではありません。例えば私は、哲学を専門としていますが、ある決まりきった枠の中でしか何かを論じていない論文と、「おお! こんな視点があったのか!」「こんなことを問いにしてもいいのか!」というような、驚きを与えてくれる論文とがあります。

文章の世界というのは、1つとして論じてはいけないことはありません。どのような問いを立てるのも自由です。自分が立てた問いをちゃんと回収しさえすればそれでいいのです。

「こういうことは書いてはいけないのではないか」という心のストッパーを外すこと。そのためにはたくさん読んでたくさん書くこと。あるいはいまだ知らない大人と対話すること。そういったことが重要になってきます。

小論文の本当の基礎|最低限これだけができればOK!

市販の小論文の参考書にはさまざまなことが書かれていますが、小論文ってじつは簡単なのです。小論文とは論文の小さなものですから、論文の構成を模して書くとOKです。

しかし、論文をまだ読んだことのない高校生にそう言っても伝わらないでしょうから、以下に簡単にまとめました。

ちなみに、以下は私の受講生に配布しているレジュメのコピペです(無論、私が作成しました)。それを知ったからといって即座に小論文が書けるようになるわけではないので、知識は無料で放出する。これが私のスタイルです。小論文は繰り返し、他人に読んでもらって修正する、そうすることではじめて書けるようになります。

では、以下に、コピペの資料を見ていきましょう。

はじめに
すべての文章は問いと主張とその根拠の3つの情報を内包しています。
文章は著者の問いからしか生まれないからです。
問いとは「●●とは何か?」「なぜ××なのか?」といった短文で表すことのできるものです。空はなぜ青いのだろうという問いを抱いた人が「空はなぜ青いのか」というタイトルの本を書くのです。したがって、小論文に書くべきことは、

1 問い

2 主張

3 根拠

となります。が、多くの場合、問いは与えられているので、問いに対する主張とその根拠をまず考えます。


主張を導く方法
「●●とは何か? 1000文字くらいで論ぜよ」といきなり言われて、即座に「●●とは△△です」と言える受験生はいません。したがって、なんらかをフックとして思考するしかありません。例えば、

1 身近なところから例を引っ張ってくる

例えば「本物とは何か」という問いに対して、「では偽物とはなんだろう」と思考してみる。すると、ブランドの鞄の偽物など、卑近な例がいくつか思い浮かぶでしょう。では、それはなぜ偽物と言われているのか? 信用できる機関が偽物と言っているからだ。とすれば……というふうに思考するとか。

これは当たり前の思考のように見えて、できる人があまりいません。受験生は難しい言葉で賢そうなことを論じなくてはならないと気負っているからです。

自分に下駄を履かせるというか、自分を上げ底気味に見せようとした時点で落ちると思ってください。そんな小手先のテクニックなど、大学の先生は即座に見抜くのです。トコトン誠実に書け!

2 そのことについて知っている情報を全部箇条書きにする

例えば、多様性について多角的に論ぜよという問いの場合、多様性について知っていることを箇条書きにしてみる(こういうのをアイデアフラッシュといいます)。それらをじっと眺めつつ、何か論じるフックがないか検討する。

3 偉い人がそのことについて何を言っていたのかを思い出す

要するに他人のアイデアを拝借する。パクる。


小論文の書き方
基本的には以下。
まず結論を書く。「●●とは××だと私は考える」

次にその理由(根拠)を書く「なぜなら●●とは△△だからだ」

最後に再び結論を書く。「以上のことから●●とは××と私は考える(冒頭部の繰り返しでOKです)」

理由が複数ある場合は「その理由を5つ、以下に論じる」などと書き、「第1に~」「第2に~」という段落構成にする。


プレゼンテーション型の小論文(プレゼンシート)の書き方
最後に、プレゼンテーション型の小論文の書き方について言及します。
プレゼンテーションとは何を伝えるものかと言えば、もちろん自分の主張を伝えるわけですが、より本質的には、「ストーリーを伝える」のがプレゼンテーションです。

すなわちこういう課題があるから、こういう問い(テーマ)が導かれ、そのテーマを具現化しようと思えばこういう施策が考えられ、それらの施策を積み上げていった結果、こういうふうになります。という「ストーリーを聴かせる」のがプレゼンテーションです。

したがって「3秒、3分、30分の法則」に則って要約文やプレゼンシートを作成する必要があります。

3秒というのは、プレゼンシート1枚をパッと見た時に「何が書かれてあるのか」がする分かる。すなわちタイトルがしっかりと書かれてあるということです。

3分というのは、1枚のプレゼンシートの中の概要とタイトルだけをさっと目で追っていけば、だいたい何が書いてあるのかがわかる。すなわち頭の中でストーリーが立体的にイメージできる。

30分というのは、そのプレゼンシートを熟読したくなり、熟読した結果ものすごく説得されて感激する。

これが「3秒、3分、30分の法則」です。電通やマッキャンエリクソンのような有名な広告代理店のプレゼン資料というのは、大抵そのようになっています。まあ、皆さんお利口さんだからという理由だけでなく、プレゼンされる側、すなわち企業の宣伝部の人は忙しいから3秒とか3分で読める企画書にしないと読んでくれない。読んでくれないと金を稼げないという理由もありますけど。

というわけで、プレゼンテーション型の入試対策は、ストーリーを作ることに主眼が向けられます。もちろんその前段階として、資料から論点を読み取る能力であったり、読み取ったの論点から何らかを洞察する能力が必要なのは言うまでもありません。

現代文&小論文対策|すぐ書けるようになる「魔法の要約テクニック」5選

例えば、神戸大学の現代文の最終問題は毎年、「著者の主張を要約せよ」です。

また、中堅国公立大学の総合型選抜ではしばしば、5000文字ほどの超長文を、その1割以下の300文字程度に要約させる問題が出されています。

というわけで、要約はできないよりできたほうが断然お得だと言えます。では、要約ってどうすればいいのでしょうか。文章の構造読解のプロである私が、その方法をお伝えします。

ちなみに、英語も同じです。下線部和訳ができない人は「要約力」がないから、下線部の直訳しかできないのです。英語力と国語力は相関関係にある、とはそういうことなのです。


1,意味段落とは「問い」から次の問いの手前まで

5000文字ほどの超長文の場合、学校の先生はしばしば「意味段落で段落を分ければよい」と生徒に教えますが、意味段落は「文章が何を言ってるのか」がわからないと分けることができません(ホント学校の先生って無理なことを生徒に要求しますよね)。

そこでまず、ざっくりと意味段落を分けるテクを知っておく必要があります。
意味段落とは、問いから、次の問いの手前まで、と理解しましょう。

文章は(1)問い(2)主張(3)根拠 の3つの要素で成っています。これは問題文全体に言えることであり、同時に、各意味段落内に言えることでもあります。つまり、超長文は(1)~(3)のかたまりを3つほど持っている文章というわけ。

ちなみに、問いとは「〇〇とはなにか」とか「なぜ〇〇なのだろう」という疑問文のことです。


2,段落の冒頭の言い切っている文章に着目する

自分で文章を書けば即座に分かることですが、段落の冒頭には問いか自分の主張のいずれかを置く場合がほとんどです。
もちろん、例を示したい場合は、「例えば」から書き出しますが、そうではない場合、段落の冒頭には問いか主張のいずれかを「書きたくなる」でしょう。あなたが読んでいる文章を書いた著者も同じ思考回路を持っています。これは国語の勉強というより、ヒトの脳の思考のクセです。


3,接続詞に着目する

超長文は読むのがダルいと思いますので、接続詞を追っかけていこう。基本的には、逆説の接続詞(しかし、一方で、など)や、つまり、といった結論を表す接続詞の後の文章を拾っていきます。


4,文中の言葉を積極的に使う

文中の言葉をそのまま使ってはいけないと指導する先生もいますが、例えば神戸大学の場合、文中の言葉をそのまま使うことなく、自分で好き勝手に言い換えれば、たいてい、点をくれません。文中の言葉と高校生が考える言い換え言葉の間には、どうしても乖離が生じるので、「著者はそのようなことは言っていない」という理由で点をくれないのです。

したがって、まずは、上記1から3のテクニックを使って本文から抜いた文章をそのまま繋げていきましょう。


5,問いと主張と根拠だけを抜き出す

上記1から4のことがよくわからない場合、問題文の中から、問いと主張と根拠だけを抜き出しましょう。5000文字を超える超長文の場合、問いと主張と根拠のセットは3つほどあるでしょう。まずはそのレベルを目指すといいと思います。

6,最終手段
上記1から5のことがよくわからない場合、最終手段として、まず「何について書かれてある文章なのか」を洞察します。洞察するというか、読んでいけばなんとなくわかると思います。

例えば、「地球温暖化がもたらす経済効果について」書かれてあるとしましょう。そしたら次に。それについて著者が何を主張しているのかをとっていきます。それを取る方法は簡単で、「例えば」という例示の箇所を全部消していくのです。消したあとに残ったものが著者の主張です。
その次に、それらを並べてみて、地球温暖化がもたらす経済効果とはどのようなものか、という問いにそぐう主張だけをかいつまんでいくのです。

以上の方法はあまり褒められた方法ではありません。しかし、切羽詰まったときにやれば、少なくとも部分点はもらえると思います。

構造がしっかりした文章であれば、文章の中から著者の問いと主張とその根拠をとり出すのはさほど難しいことではありません。言い換え表現と反対表現に着目して文章の構造をつかめばいいだけですから。
しかし、エッセイ寄りの柔らかい文章の場合、なかなか構造が見えてこないことがあります。そういったときはまず、「何について書かれている文章なのか」だけを取ってあげるのです。なぜなら、すべての文章は「〇〇について」書かれているからであり、〇〇に対する著者の主張は必ず存在するからです。

これだけのことをやって部分点をもらうのも1つの方法です。あまり褒められたことではありませんけど。